「離職者訓練に関する研究」について_第52号

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JILPT(独立行政法人労働政策研究・研修機構)に、調査に協力した旨をお伝えしたところ、さっそく報告書を送付していただきました。ありがとうございました。

 

さて、まだすべて読み込んでいないのですが、さっと見て興味深いところがありましたので、それについて触れたいと思います。

 

この調査は、職業訓練受講者にも調査に協力をしてもらっており、受講直前に働いていた時の年収と受講後に就職した会社の年収についての質問にも回答してもらっております。

 

 受講前の年収 平均245.1万円 中央値220.0万円 (6212人)

 受講後の年収 平均181.9万円 中央値180.0万円 (3154人)

 

 受講前後の平均値の差は63.2万円、中央値の差は40万円となっており、いずれも受講後の方が年収が下がっております。

 この結果を経済学的な視点で、職業訓練の効果をみるとなると、年収が下がっていることから「効果がない」と判断されてもやむをえない結果となっております。

 この研究の筆者は、パート・アルバイトで就業した方が約3分の1を占めることから、平均値・中央値ともに200万円をきっていると推察しております。

 年収が下がった理由としてはパート・アルバイトが多いためということは理解できましたが、それでは、なぜパート・アルバイトが多いのでしょうか。

 非正規労働者は、全労働者の3分の1以上になっており、その対策の一つとして職業訓練が実施されているものと思っております。

 また、この調査では、訓練施設にも調査をしており、そのうちのひとつに就職支援についても質問をしておりますが、回答した訓練施設(601施設)のうち、89.5%(538施設)が、就職支援の取り組みについて、「就職に効果的なものがある」と答えております。

 このあたりの整合性(つまり訓練施設側は「就職に効果的なものがある」とおもっているが、実体としてパート・アルバイトに就職している方も多く、年収は受講前より下がっている)については、さらに深く調べる必要があるのではないかと思いました。